ブッダ 物語(2) 四門出遊

「なぜあれほど才能に恵まれ、将来も約束され、何不自由なく
暮らすことができるのに、悩んでいるのか」

心配した浄飯王は、あることに気がつきます。

「そうだ、そうだ、アレが無かった。
そう言えば、シッタルタ太子も19歳。
結婚したくなったのだろう」

と一人早合点した浄飯王は、早速国一番のヤショダラ姫を妃に

迎え、シッタルタ太子と結婚させたのでした。

しかし、シッタルタ太子の悩みはそこにあったのではありません

ので、最初は明るくなられても、すぐに物憂げな太子に戻った

のでした。

シッタルタ太子の苦悩はどこにあったのか。

今日四門出遊と言われる有名な話があります。

シッタルタ太子は城を出て、庶民の暮らしを見てみたいと浄飯王

に許可を求めたのです。

浄飯王は今まで、世の苦しみを知って太子に出家されては大変と

カピラ城から出すことはしておりませんでしたが、しかし、国を

継ぐものとして、いつまでもそのようにはしておれませんので、

外出を認可しました。

太子が東の門を出ると、ご老人を見たのです。

顔はシワより、腰は曲がり、手足はやせ細って、ヨタヨタと

杖を突いて歩く姿に太子は大変な衝撃を受けます。

「おい、あの人はどうしてあのような姿をしているのだ」

とお付きの家来に尋ねると、家来は

「あれは老人でございます。人は若い時はそうではありません

が、年を重ねると、身体が衰え、あのような姿に誰でも

なるのです」

と淡々と説明します。

今までカピラ城の中には、そのような老人がいなかったのです。

太子は初めて見る、老人の姿にうろたえながら、

「では私も、あのような姿になることがあるのか」

と尋ねました。

「はい、太子様といえど、例外はありません」

と家来は言い放ちました。

次に南の門を出ました。

そこには病人がいたのです。

高熱でうなされ、咳がとまらず、皮膚は変色して、

苦しみに喘いでのたうち回る姿に、また太子は

衝撃を受けました。

またお付きの家来に、

「おい、あれは何だ、あの人はどうしてあのように

苦しんでいるのだ」

と聞くと、

「あれは、病人です。流行りの病にやられているのです」

「私もあのような姿になることがあるのか」

「はい、人間は病の器と言われます。

今は健康な太子も病に襲われると、あのように

苦しまねばなりません」

さらなる衝撃に、太子は目眩に襲われた思いになりました。

そして西の門を出た時、葬式の列に出くわします。

遺族が涙を流し、別れを悲しんでいました。

「あれは何だ、皆何をしているのだ。何をあのように
悲しんでいるのだ」

と尋ねました。

「はい、生あるものは必ず死に帰すと言われ、

どんな人も最後は死んでいきます。

人が死ぬと、皆葬式でそのような悲しい別れをせば

ならないのです」

もう言葉が無い太子は

「私も、明日かもしれぬ、今晩かも」

と愕然とするのみでした。

生きている以上避けられない「老・病・死」を目の当たり

にしたシッタルタ太子は、大変な悩みにさいなまれるよう

になったのです。

「人々は、一生懸命生きてはいても、必ず、老いと病と

死によって崩れ去ってしまう。

一体人は何のために生きるのか」

最後、

北の門を出た時に出会ったのが、修行者でした。

無言で振り返る太子に、家来は聞かれずとも

「あれは修行者です。老いや病や死によっても無くならない

本当の幸福を求めるものでございます」

と伝えました。

一縷の望みを見出したような気持ちになった太子は、

心に秘めるものがありました。

これが有名な太子の『四門出遊』(しもんしゅつゆう)です。

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